いくつか記事を書いてきましたが、声劇というコンテンツを楽しめるようにするには単純に台本の作者・演者双方が互いにリスペクトすれば済む話です。
台本がなければ演じることはできません
演じてもらわなければその台本は埋もれます
お互いに尊重しあっている限り問題は発生しにくいです。
著作権法等関係法令から考えると、そもそもネット上で上演(動画投稿を含む)するには事前に作者の許諾(許可)が必要ですが、慣例上こういったことは不要という印象です。
1 演者の方々へ
演者は使わせてもらっているんだという意識を常に持つべきです。 だからといって作者の方が立場が上とかそういう意味ではなく、台本がなければ自分で書かない限り演じることはできません。 そして作者が止めてくれといっていることはしないようにしましょう。それこそ台本を上げるも下げるも作者だけの特権です。また、作者の負担を減らすためにも、不当な扱いをしている演者を見かけたら注意するなどをすることが作者のためになります。 あと、使用するなら最低限作者名くらいは視聴者の目の届くところに書きましょう。作者名の省略は著作権法第19条第3項によりアウトとなるケースがほとんどです。
突発的な投げ銭などがあったときの対応に苦慮するかもしれないですが、作者が投げ銭などがあったときでも連絡不要と規約に書いてない限り、問い合わせるようにしましょう。
勝手にM3などで頒布するのは論外です。
2 台本作者の方々へ
通常の利用方法だった場合は事前に許可は要らないよということを明記さえしておけば足りる話です。厳密に考えるとそもそもネット上での上演などは著作権法違反ですが、基本的にはとやかく言わないよと演者に伝えることが利用規約のメインの意義ではないでしょうか。利用規約は演者に安心して使ってもらうためのものでもあります。
クリエイター推奨ポイントや投げ銭などで何万円も稼がれてしまうことは現実的には滅多にないでしょうし、継続的に稼いでいるのなら故意に営利の目的を持ってやっていることになるので見逃す(黙認する)必要はありません。
また、ネット上に公開するということは、作者にとって不本意なアドリブや男女逆転などが行われるリスクが伴います。どうしてもそういったことが許せないのであれば、そもそもボイドラサーチさんなどに登録するのではなく、知人に限定して公開したらいいだけです。
しかし、目くじらを立てて違反者を探し出し文句を言ってばかりでは疲れてしまいますし、創作意欲も低下してしまいます。それは勿体ない事です。
どうしても許せないというのであれば、まずは著作権や利用規約の法的性質についてしっかり勉強した上で規約を整備しましょう。 自分の権利を行使したいのであれば、それ相応の知識と準備は必要です。著作権者だからといって、どのような主張でも通ると思うのは間違いです。 おじさんが確認した限り、利用規約の主張が全面的に通るように整備されているものはほとんどありません(一部については前の記事に載せています)。
仮に事前の打ち合わせや許可なく勝手にM3などでの頒布やダウンロード販売など、故意に営利目的での使用等を見つけた場合は容赦する必要はないです。
著作権法第114条各項(損害の額の推定等)に基づく損害賠償請求・不当利得返還請求
台本(脚本)作者名を明記していないのであれば同法19条(氏名表示権)に基づく著作者人格権侵害行為による精神的苦痛(慰謝料)請求
アドリブなどの改変行為が認められるのであれば同法20条(同一性保持権)に基づく著作者人格権侵害行為による精神的苦痛(慰謝料)請求
これらを請求する権利があります(しっかり証拠を集める必要はあります)。 もちろん請求額や慰謝料の額についてはそれぞれの態様によるので明言はできません。全く同じ状況というのはないかもしれませんが、近いものに関する判例などを調べてみましょう。 ご自身で調査・解決することが難しいけれども賠償してもらいたいのであれば、専門家に依頼してください。(ただし、専門家に報酬として支払う額に見合うかどうかは別問題)
3 おわりに
不毛なマウント合戦をすることなく、お互いにWin-Winの関係を築けるようにすればいいのにと思います。
この記事を含むすべての投稿記事について疑問に思うことなどがあれば、法律に詳しい知人や専門家に訊いてください。あくまでおじさん個人の見解です。
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