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夢追人

比率 2:1:0

台本を使う前に【利用上のルール】をお読みください。

アーク(♂) 元軍人でパティシエを目指している
美優(♀) パティシエを目指している
​父親(♂) 美優の父親

◇シーン1 パティシエ試験会場


美優  あの…ちょっといいですか?

アーク はい? なんでしょう。

美優  去年も姿を見かけた気がするのですが、人違いかしら。
    でも、こんなに背が高いですし、顔も見憶えがあるし…
    何より、試験が終わった時の表情が曇っていたから…

アーク え…あ、ああ。確かに僕は3回目の受験だよ。
    だから、人違いではないと思うけど…君は?

美優  私も同じ受験生です。このパティシエ資格の。
    まぁ…私は2回目ですけどね。

アーク そうなんだ。難しいよね、資格を取るのって。

美優  ええ。この世界が厳しいのは知っていたけど、
    ここまでとは思っていませんでした。
    心の何処かで舐めていたのかもしれませんね。

アーク そんなことはないと思うけどな。
    その日の体調だけじゃなくって、
    精神的なものも、味覚に影響与えるって言うし。
    だから、心の調子も含めて、盤石ばんじゃくの態勢で受けないと
    合格しないんじゃないかなぁ。

美優  ふふ…確かにそうかもしれませんね。

アーク ? 何が可笑しいんだい?

美優  去年と違って、今年はなんか心に余裕があるように見えて。

アーク そうだね。去年よりは自信あるよ?
    今までで一番かな。

美優  合格してるといいですね。

アーク 君もね。

美優  そう…ね。そう願ってるわ。
    今年は、これを持ってきたんだし、きっと大丈夫。

アーク これは?

美優  『お守り』っていうの。日本独特の物なのかしら…

アーク へぇ…『お守り』ね。君は日本人なんだ。
    僕は日本の文化、そこまで詳しく知らないんだよね。

美優  それって、少しは興味あるってことなのかしら。

アーク うん。僕なりにだけど、興味を持って色々と。

美優  へぇ…例えばどんな?

アーク 刀…とか。

美優  刀?

アーク そう。日本の歴史とかかな。建造物もだけどね。

美優  へー。じゃあ、舞妓さんとかも?

アーク 舞妓さん?

美優  あら、日本文化に興味ある割には、抜けてるのね…ふふっ

アーク ?

美優  まさか…貴方、女性に興味がないとか…

アーク そんなことはないけどね。
    舞妓さんか、今度調べてみるよ。

美優  ふふ…是非、そうしてみて。きっと驚くわよー?

アーク 楽しみだな。

美優  あら…もうこんな時間。そろそろ帰らないと。

アーク ホントだ…

美優  私はニューヨークに住んでるんだけど、貴方は?

アーク 僕? 僕もニューヨークだよ。

美優  あら、同じ街なのね(笑)
    ねぇ…もし良かったらでいいんだけど…
    また会ってくださらないかしら。
    もう少し、貴方とお話がしたくて。

アーク 喜んで。って、まだ名前も訊いてなかったっけ。
    僕はアーク。

美優  私は美優。宜しくね。

アーク うん。宜しく。


◇シーン2 ニューヨークの公園


美優  あら…約束の時間までまだ1時間もあるのに、もう来てるんだ。

アーク うん。なんか…緊張しちゃって…ね。

美優  それで、こんなに早く?

アーク 待ってれば、落ち着くかなーとか…ははは。

美優  ふふ。

アーク そういう君だって随分早いと思うんだけど。

美優  え? 私? そりゃー私から誘ったんだもん。
    遅刻するわけにはいかないかなーって。

アーク なら、早く来て正解だったかも。
    女性を待たせるのは、男としてどーかと思うし。

美優  フェミニストなのね。こっちの人らしい…かな?

アーク アメリカ人全員がフェミニストってわけじゃないと思うんだけどね。

美優  そうなんだ。私はよく判らないから。

アーク 僕の知る限り、フェミニストじゃない男も結構いるからさ。

美優  ふーん。
    ところでさ、映画とか観に行かない?
    こんな炎天下、直射日光が厳しいし、
    少し涼しいところでゆっくり過ごしたいなーって。どう?

アーク いいよ。君の好きな映画にしようか。

美優  本当? 嬉しいな。私、前から観たかったのあるのよね。


(二人はける 照明薄暗がりに)
(アークのみ戻ってきてスポット)

アーク こうして、僕は美優と楽しい時間を過ごすことができた。
    彼女は「デート楽しかったよ、ありがとう」なんて言ってたけど、
    僕たちはまだ付き合っていたわけじゃなかった。
    彼女の軽いジョークだったんだと、その時は思った。
    でも、引っ込み思案の僕にとって、
    すごく新鮮で、楽しいひと時だったのは事実だ。
    また彼女に会いたい…そう願った僕は、
    勇気を振り絞って、再び会う約束を切り出した。
    そう、パティシエ合格発表の日に、最初に待ち合わせた公園で。


◇シーン3 ニューヨークの公園

美優  あ、また私より先に居るわね(笑)

アーク まぁね。

美優  で、どうだった? 結果は。

アーク 見事合格!

美優  おめでとう!

アーク いやー、3年越しだよ。君は?

美優  私もちゃーんと合格できたわよ?

アーク そっか! 良かったね!

美優  うん! 
    あの時のアークさん、自信ありそうだったから、
    なんの躊躇いもなく結果訊けたんだよ?

アーク そっか。君も自信ありそうに見えたけど?

美優  まぁねー。こういうのって、試験終わった時に感じるものなのかしら?

アーク どうなんだろう…でも、そうかもしれないね。

美優  お互い良かったね!

アーク そうだね…うん、そうだね。

美優  どうしたの?

アーク いや…

美優  ?

アーク ………。

美優  ………。

アーク ………なんでもないよ

美優  (かぶり気味に)なんでもないわけないでしょ?

アーク え?

美優  何か悩みでもあるの? 合格したのに?

アーク うん…悩みなのかな。

美優  どういうこと?

アーク なんて言えばいいんだろう…

美優  もー、歯切れが悪いわね。
    思ったことを素直に言えばいいじゃない。

アーク そりゃ、そうなんだけどさ。
    こんなこと君に話すのもアレかなーって。

美優  アレじゃ判んないわよ?
    私、こう見えて結構強いのよ? 大抵の話には耐性あるんだから(笑)

アーク 強い…か。確かにそんな感じするよね。

美優  え?

アーク 君は、もう気付いてるかもしれないけどさ、僕は弱い人間なんだ。

美優  ………。

アーク 昔話なんだけど、いい?

美優  ええ。(優しく微笑む)

アーク 僕がパティシエを目指そうとする前、何をしていたと思う?

美優  そうねぇ…結構いい体格しているし、身体を使った仕事…かしら。

アーク 軍人だったんだ。

美優  え…あ…そうなんだ。

アーク 日本には軍隊がないんだっけ。驚くのも無理はないかもしれないね。
    でも、僕は軍人だった。そういう大学に入ったんだ。
    そして、指揮官コースだった。

美優  日本で言うところの防衛大学みたいなものね。
    でも、そういうコースなんてあるんだ…

アーク そう。あるんだよ。
    そして、暫くして湾岸戦争が起こった。

美優  ニュースでは知ってるけど…

アーク その場に居なかったんだから、仕方ないと思うよ。
    それでね…そこで司令官をしていたんだ。

美優  指揮官コースに在籍していれば、それは不自然じゃないと思うけど…

アーク うん、ごく自然の成り行きだった。でね…

美優  ………。

アーク 想像通りだよ…
    僕の指令によって、僕の部下が何人か戦死した。

美優  ………。

アーク あの時、別のことを指示していれば、彼らは死ななかったかもしれない。
    いや、きっと死ななかった。
    そのことが、ずっと僕を苛さいなんでいて…

美優  でも…

アーク 後悔しても後悔しても、彼らは生き返らない。
    僕はこうしてのうのうと生きているというのに…
    彼らの家族に会わせる顔がない…

美優  でも、貴方は彼らを死なせようと思って指令を下したわけじゃないでしょ?
    貴方は、その時最善だと思った指示を出した。
    きっと、貴方なりに真剣に悩んで考えて。

アーク ………。

美優  …違う?

アーク そう…だけど…
    ただ、僕は事実を受け止める度量がなくて、さ。
    だから、軍人を辞めることにした。
    最初は、教官にならないかって薦められて、教官になった。
    でも、長くは勤まらなかった。
    逃げ出したんだ。軍隊という現実から。

美優  それでパティシエに?

アーク 事務仕事っていうのは、性に合わなくて。
    それに、皆に笑顔になって貰える職業って何かなって考えた時、
    パティシエに辿りついたんだよ。

美優  素敵なことだと思うけどな。
    逃げ出した…そういう考え方もできるけど、
    貴方は新しい道を見出して、前に進んでるじゃない。
    その努力が報われて、やっと手にした資格でしょ?

アーク そう…なんだけどね。

美優  そんなに悲観する必要、ないと思うんだけどな。

アーク うん…ごめんね、重たい話をしちゃって。

美優  気にしないで。
    さっきも言ったでしょ? 私はどんな話でも平気だって。

アーク そう…だったね。うん…

美優  (微笑んでいる)

アーク あの…

美優  ?

アーク あのさ…

美優  どうしたの?

アーク その…

美優  はっきり言いなさいよ。

アーク 良かったら、もし良かったらでいいんだけど…
    僕と…付き合ってくれないかな…

美優  ふふふ。

アーク え?

美優  いいわよ?

アーク え? い…いいの!?

美優  うん。私も貴方のこと、好きだから。

アーク ホントに?

美優  しつこいわねぇ。いいって言ってるんだから、いいじゃない。
    それとも、何か不満でもあるの?

アーク いや…ないです。

美優  ふふ。この前言った言葉、覚えてる?

アーク …もしかして「デート」のこと?

美優  そう。あの時から、こうなるかなーって思ってたの。

アーク 負けたよ(笑)

美優  日本には以心伝心っていう言葉があるの。

アーク 以心伝心?

美優  今度調べてみるといいと思うわ。

アーク はは…そうさせて貰うよ。

美優  そろそろ帰らなきゃ。

アーク ん? もうこんな時間か。

美優  じゃ、また会いましょうね。告白、嬉しかったわ。

アーク あ…ああ。いや…その…

美優  じゃーねー。

アーク またー!

(美優はける)

アーク やっと言うことができた!

(アークはける)


◇シーン4 ニューヨークの喫茶店


美優  ねぇねぇ。

アーク なんだい?

美優  今度日本に行ってみない?

アーク また突然だね。

美優  私だって、時には帰りたいって思うもん。
    ずっとこっちで勉強して、
    資格取ってからもこっちで修業してるしさ。
    だから、一緒に行かない?

アーク 日本かー。(一瞬顔が曇るが、すぐ明るい表情に)

美優  興味あるって言ってたじゃない?

アーク うん、そうだね。色々行ってみたい所もあるし。

美優  良かったー!

アーク え?

美優  断られると思ったから…

アーク なんで、そんなこと思ったんだい?

美優  なんとなく…かな。

アーク 断る理由がないよ。

美優  そう…そうよね。ねぇ、次の長期休暇っていつ?

アーク ああ、次は…

(徐々にフェードアウト)


◇シーン5 日本・美優の家


アーク ………。

父親  ………。

美優  ………。

アーク ………。

父親  ………。

美優  …なんでお通夜みたいになってるのよ!

父親  いや…なんだ、その…こちらの方は?

美優  私が今付き合ってる人。

父親  ………。

美優  何よ。

父親  何人?

美優  アメリカ人。

父親  そうか…英語とかできんのだが…
    ファッツ ヨア ネーム?

アーク アークと言います。日本語の勉強をしているので、日本語で大丈夫です。

父親  そうか…アークさんか。

アーク はい。

父親  ………。

アーク ………。

美優  会話が続いてないわよ?

父親  まぁ…な…

美優  もう…向こうで知り合ったの。彼もパティシエ。

父親  ふむ…そうなのか?

アーク はい。

父親  そうか…

アーク ええ…

父親  ………。

アーク ………。

美優  なんでこうなるのかなぁ…

アーク あのさ、どうして僕は此処に居るのでしょう?

美優  え?

アーク 観光目的だったような…

美優  いいじゃない、ついでよついで。

父親  「ついで」で連れてこられたのか…君も不憫だな。

アーク いえ…あの…

父親  なんだね。

アーク あの…

父親  ?

アーク その…美優さんと結婚させてください!

美優  え!?

父親  こりゃまたいきなりだな…

アーク 一緒にパティシエとして頑張っていきたいんです!

美優  アーク…ありがとう。

父親  …今はどうしているのかね。もう独立してるのか?

アーク いえ…下働きをしています。

父親  そうか。

美優  お父さん、反対なの? 反対されても私は

父親  (被り気味に)家庭を持つという意味を解っているのか?
    安定した収入がないと、暮らしていけないんだぞ?
    下働きをしているということは、いつ放り出されてもおかしくないということだ。

美優  それはそうだけど…

父親  これは提案なんだが。

アーク なんでしょうか。

父親  うちで働いてみないか?

アーク え?

父親  まだ結婚を認めたわけではない。
    君を知る為にも、うちで働いて欲しい。
    それがある意味条件でもある。

美優  お父さん…

アーク その…少し考える時間をいただけませんか?

父親  いいだろう。まだ暫くこちらに滞在するんだろ?
    できればそれまでに回答が欲しい。
    うちも、従業員が辞めてしまって、ちょっと困っているんだ。

アーク わ…わかりました…

父親  で、今日は何処に泊まる予定だったんだ?

美優  ホテル予約してあるけど…

父親  良かったら、うちに泊まっていきなさい。
    酒は好きかね?

アーク 強くはありませんが…好きです。

父親  日本酒は飲んだことあるかね?

アーク いいえ…

父親  じゃあ、飲んでみるといい。

アーク はい…

(薄暗がりに)
(アークにスポット)

アーク こうして、僕は勢いでプロポーズをしてしまった。
    そして、投げた球を思いっきり打ち返されて、
    僕は豆鉄砲を食らったような状態になってしまった。
    夜、美優のお父さんと意気投合はしたが…


◇シーン6 その夜・寝室


アーク 日本で仕事をする…か。考えたこともなかった。

美優  あら、どうして? 私は日本人よ? 可能性はあったと思うけど。

アーク そうなんだけど、君はニューヨークに来てた。
    だから、てっきりこっちで働くもんだと…

美優  修行としてはいいんだけど、やっぱり最終的には日本って考えてたの。
    前に言ってなかったかしら…

アーク 聞いてなかった…

美優  ごめんなさい。

アーク 謝る必要はないよ。でも…

美優  結婚したいって言ってくれたのは、嬉しかったわ。
    でも…日本っていうのは考えてなかったのね。

アーク うん…君と結婚したいと思っていたのは事実だし、
    だからこそ、勇気を振り絞って言ったんだよ。
    でもさ…

美優  不安なの?

アーク うん…日本に興味もあるんだけど、暮らすとなると別でさ。
    やっぱり怖いよ…

美優  …強くなろうよ。
    知っている人が居ない土地だけどさ、私が支えるから。
    ね? それとも…私じゃ不足?

アーク そんなことはないよ。君が傍に居てくれれば、僕は頑張れる。

美優  なら…

アーク うん…そう…だね。

美優  家族のことが心配?

アーク いや、それは大丈夫だよ。

美優  そっか。

アーク うん…

美優  …まぁ、突然の話だし、心の整理をつける時間も必要よね。

アーク ごめん…

美優  いいのよ。明日から、また観光しよう? その予定だったでしょ?

アーク うん。ありがとう。


(薄暗がりに)
(アークにスポット)

アーク 僕は、日程通り日本観光を終え、一度アメリカへ帰国した。
    そして、すぐに荷物を纏め、美優の店で働き始めた。
    不安がなかったと言ったら嘘になる。
    でも、美優が傍に居てくれるなら頑張ろうと思ったから。
    自分の夢と大切な人を天秤にかけて、どちらかを選ぶなんてできなかった。
    だから、両方とも叶う方法を選択したんだ。


◇シーン7 3年後・美優の実家

(薄暗がりに)
(アークにスポット)
アーク 先日、待望の息子が生まれた。
    そして、美優が退院して1週間後。

(明転)


父親  アーク君。

アーク はい。

父親  君も、父親になったんだな。

アーク はい。

父親  それでな、ちょっと話があるんだ。

アーク なんでしょうか?

父親  ははは…相変わらず固い表情だな。
    君は私のこと、怖い人だと思っているんだろ。

アーク いえ…

父親  顔に書いてある。

アーク え?

父親  口にしなくても、表情に出ているって意味だよ。

アーク いや…その…

父親  ま、そう思われても仕方ないと思ってるよ。
    なにせ、うちで働いてもらっている時、さんざんこき使ったし、
    なかなか結婚を認めなかったしね。

アーク ………。

父親  私はね…最初、美優が君を連れてきた時、面食らったよ。
    突然、娘が男を連れてきた。
    それだけでも吃驚びっくりすることなのに、相手はアメリカ人ときている。
    驚かない方が不思議なわけだ。

アーク はい…

父親  でも、私は店の跡継ぎを捜していた。
    娘がパティシエになりたいって言った時も嬉しかった。
    娘が連れてきた男がアメリカ人でも、
    パティシエなら、後を継がすことができるんじゃないかと思った。
    だから、私は君がどんな人間か知りたかったし、
    この店を任せられるかどうかも含めて、ここで働いてもらっていた。
    そして、私は確信した。
    君なら大丈夫。
    娘も、そしてこの店も安心して任せられる。

アーク お義父さん…

父親  アーク君、私はね、君たちの結婚を認めた時から決めていたんだ。
    君たちの子供が生まれたら、引退しようって。

アーク ………。

父親  この店を任せてもいいかな?

アーク あの…

美優  お父さん、今の話、本当?

父親  美優。もう動いて大丈夫なのか?

美優  ええ。で、今の話…

父親  本当さ。アーク君に、店を任せようと思う。

美優  お父さん…ありがとう。
    アーク、私たちのお店よ。念願のお店よ。

アーク うん…

美優  不安…なの?

アーク ………。

父親  ははは、君は、心配性なところがあるからな。
    でも大丈夫だ。この3年、しっかり君を見てきた。
    この私が太鼓判を押しているんだぞ? 自信を持ちたまえ。

美優  そうよ。お父さんが認めるなんて、滅多にないことなのよ?

アーク うん…

美優  私も居るし、お父さんだって消えてしまうわけじゃないわ。
    これまで歩いてきた貴方の軌跡は、簡単に消えてしまうようなものじゃないの。
    夢に向かって一生懸命努力してきた結果の足跡。
    自信をもって。ね?

父親  アークくん。

アーク …はい! これからも精一杯頑張っていこうと思います!

父親  いい返事だ。これで、安心して任せられるよ。

美優  もー、お父さんってば。

父親  はっはっは。

アーク では、これから店の方に顔を出してきます! 行ってきます!

美優  行ってらっしゃい。

父親  行ってきたまえ。

(薄暗がりに)
(アークにスポット)

アーク こうして、僕はパティシエとして店を持つという夢が叶った。
    これからも、たくさんの困難が待ち受けていると思う。
    でも、美優が、息子が、そしてお義父さんが居るから、頑張れる。
    そう確信することができた。

    日本のどこかで、アメリカ人が微妙な日本語で接客しているお店を、
    皆さんはどこかで目にすることがあるかもしれません。
    その時は、温かく見守ってあげてください。

(精一杯の笑顔で)いらっしゃいませ。

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