ラジオサークル
比率 1:1:2
台本を使う前に【利用上のルール】をお読みください。
利用上のルールにかかわらず、性別不問については、性別にあうように語尾などを自由に言い換えても問題ありません。
声劇の読み方(こえげき・せいげき)は彩の最初のセリフで統一してください。
彩(♀)
斉藤(♂)
原(不問)
平井(不問)
平井M:何か新しいサークルに参加してみるのもいいのかもしれない。
そう思った僕はサークル一覧に目を通す。
ちょっと面白そうなものを見つけたので、訪ねることにした。
その名は「ラジオサークル」
◇シーン1 訪問
平井以外の3人がガヤ
ドアをノックする音
平井 :こんにちは。
彩 :あら、いらっしゃい?
斉藤 :こんな掃き溜めのようなところにお客さん?
原 :掃き溜めはないんじゃないかなぁ。
斉藤 :どちらへ行こうとしてるんですか?
彩 :なんで迷子前提なのよ。もしかしたらここに
平井 :(被り気味)ここ、ラジオサークルですよね?
彩 :え? そ、そうよ。
斉藤 :もしかして、興味あるの!?
平井 :ええ。どんなことをしてるのかなと思って。
原 :メンバーが増えるのは嬉しいですね。
斉藤 :まだ決まったわけじゃねぇだろ。
原 :それはそうだけど。
彩 :活動紹介をしたらいいのね。
平井 :その前に自己紹介かな?
平井って言います、よろしく。
斉藤 :俺は斉藤。よろしく。
原 :僕は原です。
彩 :一応このサークルの責任者の彩です。よろしくね。
原 :活動だけど、パーソナリティーみたいなことをして
動画投稿したりLive配信をしているんですよ。
斉藤 :YouTuberの卵みたいなもん。
彩 :はぁ? チャンネル登録者って私たちだけじゃない。
斉藤 :う……
平井 :は、はは……
原 :自己満足かもしれないですけど、
全世界に向けて発信できますし、
毎回お題を決めて話したりっていうのは
楽しいですよ。
平井 :ラジオも聴いてて面白いですよね。
映像がないからこその良さがあるっていうか。
彩 :あなた、わかってるわね!
斉藤 :急にでっかい声だすなよ。驚くだろ。
彩 :だって、嬉しいじゃない。
原 :こういったことに、興味ありますか?
平井 :はい。
せっかくなら、過去の投稿か何かを聴いてみたいかな。
彩 :ちょっと待ってね、今探すから。
斉藤 :彩ちゃんよぉ、聴かせるならちゃんと選べよ?
彩 :うるさいわね、わかってるわよ。
平井 :選ばないといけないんですか?
最近のでいいのに。
原 :ははは。かなりすべっちゃってるのとか
編集がうまくいってないのとかあるんですよ。
彩 :原ちゃんも余計なこと言わないの。
原 :す、すいません。
斉藤 :見つかった?
彩 :これなんてどうかしら?
斉藤 :あー、これか。まぁいんじゃねぇの?
平井 :見てもいいですか?
彩 :どうぞどうぞ。
原 :聞いてもらってる間に、
飲み物調達してきますね。
斉藤 :お、サンキュー。気が利くね。
彩 :私、いつものお願ーい。
原 :はいはい。
平井 :仲いいんですね。
彩 :そう……なのかな?
斉藤 :んなこたねぇぜ。しょっちゅう喧嘩してる。
平井 :喧嘩するほど仲がいいっていいますし。
斉藤 :どうなんだろうねぇ。
んじゃ、再生ボタン押すぜ?
平井 :お願いします。
平井M:素人の作りという感じではあったし、
お便りみたいなものも自作自演なんだろうけど、
わいわいやっていて、とても楽しそうだった。
何回も滑っているのは気にしないでおこう。
本人たちは満足しているみたいだしね。
◇シーン2 そうだ、声劇をやろう
彩 :どう?
平井 :うん、すごく楽しそうだね。
斉藤 :だろぉ?
いざやってみると、緊張したりとかもあるけど
楽しいぜ?
彩 :やってみたくなった?
平井 :そうだね。体験してみたいかも。
原 :ただいまー。
聴いてみてどうだった?
平井 :うん、面白そうだなって。
原 :だったら、やってみようよ。
平井 :え、今から?
斉藤 :さすがにそれは無理じゃねぇの?
お題だったりの準備もあるし。
彩 :それにお題について調べたりとかも
しないといけないしね。
平井 :結構、下準備してるんですね。
彩 :じゃないと、無言タイムとかできちゃうからね。
斉藤 :放送事故になっちまうな。
編集するにしても限界あるし。
原 :アドリブというかその場でいきなりっていうのは
さすがにハードル高いか。
彩 :そりゃそうよ。
私たちだってうまくいったためしないじゃない。
平井 :チャレンジはされたことあるんですか?
斉藤 :まぁな。ただ……
原 :見事なすべりっぷりと放送事故の連続だったよ。
彩 :悲しくなるから言葉にしないでくれる?
全員 :………。
平井 :ふふっ。
彩 :何よ、いきなり鼻で笑いだして。
平井 :いやね、なんかまるでコントというかお芝居見てるみたいだなって。
みんなそれぞれの役割があって、綺麗に落としてるというか。
斉藤 :いやぁ……照れるなぁ。
原 :ほ、褒められてないような……
彩 :お芝居かぁ。
原 :どうかしたの?
彩 :うん、あのね「声劇」って知ってる?
斉藤 :おー、知ってる知ってる。
台本使って、ネット上で声だけで演技するやつだろ?
平井 :名前だけは聞いたことありますね。
原 :僕も最近知ったよ。
彩 :だったら、やってみない?
斉藤 :いいねぇ、楽しそう。
原 :ここで読み合わせるんですか?
平井 :せっかくだからLive配信でやったらどうでしょうか。
普通はそうするんでしょう?
彩 :じゃあ、ツイキャスってのはどうかしら。
原 :平井さんもツイッターなら利用してますよね?
平井 :え? ええ。
◇シーン3 台本
彩 :だったらツイキャスでやるとして、
どんな台本をやりたい?
斉藤 :そんなん検索して、そっから選んだらいいじゃねぇか。
原 :というか、みんな今まで言ってなかったけど
結構声劇をやってる口なの?
彩 :へ?
斉藤 :まぁな。
彩 :私も結構やってたりする。
原 :だったら、台本探したりなんかもスムーズかもしれないね。
平井 :僕は名前しか知らないから、色々教えてください。
原 :演技の台本を探すんだけど、
ボイドラサーチってところとか、台本専用の検索サイトを使うんだよ。
平井 :へぇ。
斉藤 :あそこ、便利だよな。
かなりの数が登録されてんじゃねぇか?
彩 :たしかにね。
斉藤 :お、これなんていいんじゃねぇか?
平井 :どれですか?
斉藤 :これこれ。ほら、これが台本。
彩 :これって、たしか利用規約がうるさいやつじゃなかったかしら。
原 :そうですね。
斉藤 :いいじゃねぇか。そんなん関係ねぇよ。
平井 :え、でもさすがにそれはちょっとマズイんじゃないの?
斉藤 :大丈夫大丈夫。
彩 :勝手なことしたらダメに決まってるじゃない。
そうやって規約違反したりするから、
最近台本が消えたりしてるのよ?
原 :うんうん。
彩 :だったら、私が書いたやつはどう?
斉藤 :え? 彩ちゃん台本作者なんだ。
彩 :まぁね。
平井 :へぇ、彩さんは台本も書かれてるんですね。
彩 :ラジオもそうだけど、台本って書いてみると面白いわよ?
原 :どんなのがあるんですか?
彩 :へっへっへー。
ちょっとまってね、私のペンネームで検索するとっと。
斉藤 :おー、なんか知ってるのもあるな。
彩 :やだ、身バレしちゃった。
斉藤 :あーはいはい。
平井 :彩さんも利用規約は書いてるんですか?
彩 :もっちろん。
あ、でも私たちで使う分には気にしなくていいわよ?
原 :読んでみてもいい?
彩 :いいけど、なんで?
原 :実は、僕も台本をちょっと書いたりしてるんだよね。
斉藤 :ほー! 意外。
◇シーン4 利用規約?
原 :で、どんな風に利用規約書いてるのか興味あって。
彩 :どうぞどうぞ。これよ。
平井 :あの……すごく長いですね。
彩 :そりゃ、私の想いを詰め込んでるんだもん。
斉藤 :これは読みにくいなぁ。
彩 :はぁ!?
これが理解できないなら、私の台本は理解できないわよ?
平井 :え、それって関係あるの?
彩 :あるわよ。だって規約だって作品ですもの?
原 :それは違うんじゃないかな。
彩 :どういうこと?
原 :規約は規約だよ。作品じゃない。
著作権法っていう法律知ってる?
彩 :何を言ってるのか、意味わかんないわよ。
斉藤 :規約とか読んだことないや。
原 :それはそれで問題だと思うけどね。
彩 :そうよ! そんなことして作者に迷惑かけちゃダメでしょ。
斉藤 :えー、めんどくせぇじゃん。規約とか。
原 :守らないとダメでしょ。
僕だってちゃんと利用規約は書きましたよ。
彩 :あら、私のに文句つけるくらいなら、
さぞ立派なの書いてるんでしょうねぇ。
原 :著作権法勉強しましたからね。
今、表示させますね。
斉藤 :あのさぁ。
原 :なんですか?
斉藤 :彩ちゃんのより分かりにくい。
平井 :ですね。小難しい言葉ばかり並べられてて
何が言いたいのかよくわかりません。
原 :法律は知らなかったでは済まないんですよ?
平井 :それにしたって、
読もうとした人が理解できなかったら意味ないのでは……
斉藤 :もしもこんな規約ばっかなら、まともに読む気も起きねぇな……
原 :ちょっと。
彩 :喧嘩売ってるの?
斉藤 :だってそうじゃねぇか。
作品みたいに理解しなきゃいけないとか、
人によって解釈違ってくるだろ?
それって規約なのかよ。
彩 :当たり前じゃない。
私がこう使ってくださいって伝えてるわけだし。
平井 :それはやっぱり違うと思いますよ。
それだと、スマホアプリのゲームにある利用規約も
ゲームだって言ってるようなものじゃないですか。
彩 :何よ、部外者のくせに。
平井 :ぶ、部外者……
斉藤 :彩ちゃん、それは言い過ぎだぜ。
せっかくラジオサークルに興味持ってくれてるのに。
彩 :………。
原 :規約ってのはルールですよ。
だから、誰が読んでも同じような解釈にならないと。
平井 :僕もそう思いますよ。
ただ、原さんのも理解できないから、あまり意味がない気が……
斉藤 :そうだぜ。著作……隣接権? なにそれって感じ。
彩 :原ちゃんのよりは、私の方がよっぽど読めるわよ。
原 :法律の勉強をしてくださいよ。
なんでしないんですか。
平井 :法律なんて小難しいイメージだし、
押し付けようとしても抵抗ある人が多いと思いますけど。
原 :知らないじゃ済まないの。
なんなら僕が教えようか?
斉藤 :その上から目線は、なんかムカつく。
彩 :法律をちゃんと理解しているのか疑わしいわ。
原 :僕は勉強してますからね。
平井 :あの、原さん。
原 :ん?
平井 :そもそも著作権法がベースになってるとしたら
ネット上でLive配信とかはできないんじゃないですか?
原 :え?
平井 :昔何かで見た記憶あるんですけど、
ネット配信も作者が独占する権利あるんだって。
原 :そうなの?
斉藤 :お前だって法律をちゃんと理解してないじゃねぇか。
原 :そんなことないよ!
斉藤 :つかさぁ、どっちもまともな利用規約ではないって感じだよなぁ。
平井 :利用規約って、使う人に安心して使ってもらうためのものじゃないの?
斉藤 :俺もそう思う。
彩 :なんでよ。規約違反したら怒らなきゃならないし。
原 :それは違うよ。だって著作権放棄してるなら、そんな必要ないんだし。
彩 :何よ!
平井 :利用規約ってトラブルを防ぐためのものだろうし、
それにガチガチに縛ったら使ってもらえないんじゃないかな。
斉藤 :せっかく書いても、使ってもらえなかったら虚しいもんなぁ。
原 :そのためにも法律を勉強しないと。
彩 :作品形式なら読んでもらいやすいし、
小難しく書けばいいってもんじゃないと思うわ。
斉藤 :法律って、プロじゃないんだから素人がどうこうってのもなんだかなぁ。
彩 :そうよ。間違って理解してたら、それこそ大変じゃない。
原 :ちゃんと調べてるから、大丈夫なはずだよ。
平井 :普通にわかりやすくルール書けばいいんじゃないですか?
斉藤 :そうそう。変に凝ったものを作ろうとするから
おかしなことになってるんじゃねぇの?
彩 :そんなことないわよ。
原 :体裁は大事ですよ。
彩 :だいたい、最近は投げ銭だのでお金を手に入れられるようになってるのよ?
作者には一銭も入らないって、おかしいじゃない。
原 :そうですよ。それこそ著作権法を考えるとですね。
斉藤 :素人の書いた台本で、そこまで稼げると思ってるのかよ。
彩 :失礼ね! わからないじゃない!
原 :稼げないにしても、しっかり書いておかないとダメだと思います。
斉藤 :あーもう、平行線だなぁ。
原 :僕の主張は一貫してますよ。
彩 :私だって!
◇シーン5 退室
ドアの閉まる音
平井以外の3人がガヤ
平井 :なんていうか、まるでサークルクラッシャーになったような気分。
そんなつもりはないんだけどなぁ。
ただ、このやりとりは舞台用の脚本にしちゃおうかな。
次の公演のためのネタを探してラジオサークルを訪ねたわけだし。
それに利用規約についても、ちょっと考えてみようかな。
僕も脚本をネット上に公開してるわけだしね。